【解決事例】家業を継ぐ長男への想いを形に 〜公正証書遺言で実現した円満な相続〜
相談者
Bさん(80代・飲食店経営)は、地元で40年以上続く老舗の飲食店を一人で切り盛りしてこられました。 地域に根差した誠実な仕事ぶりで多くの常連客に愛されてきたお店であり、家族の生活の基盤ともなっていました。 高齢になった今、将来の事業承継や相続の在り方について真剣に考えるようになり、当事務所にご相談に来られました。
ご相談の背景
Bさんには3人の子どもがおられ、その中でも長男のCさんは20代の頃からお店を手伝い、現在は実質的にお店を任される存在となっています。 Cさんは真面目で責任感が強く、将来的にもお店を継いで発展させていきたいという強い意志を持っていました。 一方で、次男・長女はそれぞれ家庭を持ち、別の地域で暮らしており、お店の経営には関わっていません。 Bさんは、お店の不動産や預貯金などのすべての財産をCさんに託したいというお気持ちを持っていましたが、 それが他の家族の理解を得られず、将来的なトラブルに発展しないかという懸念を抱えていました。 特に、相続人間での感情的な対立を避けたいという想いが強く、ご自身が亡くなったあとに 「言った」「言わない」の争いになることを心配されていました。そこで、法的に有効な形でご自身の意志を明確に残し、 家族の理解と協力のもとで円満に相続を進めたいと考えておられました。
司法書士のご提案
Bさんのご相談内容と背景を丁寧に伺いながら、当事務所では以下の3点をご提案しました。
- 公正証書遺言の作成: 口頭での約束やメモ書きでは法的効力が弱く、 相続人間での争いを防ぐには法的に確実な手段が必要です。 そのため、公証人役場で作成する「公正証書遺言」をご提案し、 財産の分け方を明確に記すことで、後のトラブルを未然に防ぐ意図があります。
- 付言事項の活用: 遺言の中に、家族への想いや感謝の気持ち、なぜそのような分配を選んだかという理由を綴る「付言事項」を記載することを提案しました。 この一文があることで、受け取る側の心情的な納得が得られやすくなり、遺言に対する理解が深まるためです。
- 家族への事前共有: 遺言書を作成しても、それを誰にも見せずに亡くなった場合、 内容に驚いた家族が不満を持ち、異議を申し立てることもあります。 そのため、遺言書の作成後に家族全員へ内容を共有し、ご本人の意志を丁寧に説明していただくことを強く推奨しました。
実行結果
Bさんは提案を真摯に受け止め、数回にわたる打ち合わせを経て、公証人役場にて正式に公正証書遺言を作成されました。 遺言書には、お店の土地建物および預貯金の全てを長男Cさんに相続させる旨が明記され、 付言事項には「これまでの感謝」「事業を継いでくれることへの期待」「他の家族への配慮」など、 ご本人の心のこもった言葉が記されました。 遺言書の作成後、Bさんはご家族全員を集めて、内容を説明する機会を設けました。 初めは驚いた様子だった次男と長女も、父親の誠意ある説明に納得し、結果として家族全員が内容を尊重する形で円満に合意がなされました。 特にCさんは「父の想いに応えるためにも、今後さらに店を守っていきたい」と話しており、 相続によって家族の絆が深まる結果となりました。
司法書士としてのポイント
- 事業承継と相続の融合: 家業を継ぐ子どもへの相続は、単なる財産の移転ではなく、精神的・文化的な「想いの継承」としての意味を持ちます。 このような想いを可視化することで、残された家族の納得と理解が得られやすくなります。
- 公正証書遺言の有効性: 遺言書にはいくつかの種類がありますが、公正証書遺言は家庭裁判所での検認が不要で、 紛失や改ざんの心配も少ないという大きな利点があります。高齢の方や心身に不安がある方にも適した方式です。
- 家族への事前共有: 遺言書を「家族全体の理解」を前提として作成・共有することは、相続における最大のリスクである 「感情のもつれ」や「認識のズレ」を事前に解消する極めて有効な手段です。
まとめ
本事例は、家業を継ぐ長男への確固たる信頼と感謝を明文化することで、遺された家族全員の納得と理解を得て、 円満な相続を実現した好例です。相続は「財産の分け方」だけでなく、「その背景にある想い」を丁寧に表現することで、 家族間のトラブルを防ぎ、むしろ関係を強化する契機にもなり得ます。 当事務所では、法的手続きだけでなく、ご相談者様の気持ちやご家族の状況に寄り添いながら、最適な解決策をご提案いたします。 同様のお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を担当した執筆者

- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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