高齢となった義姉の預金管理のために家族信託と遺言を併用した事例
相談内容
A様は亡き兄乙様の妻である甲様の預金管理や身の回りの世話をしていました。乙様と甲様の間には子がいなかったため、15歳年下のA様がその役割を担っていました。甲様は認知機能はしっかりしているものの、足腰が弱り施設入所が必要となりました。 A様としては甲様のお世話を続ける意向でしたが、その費用を甲様の預金から出したいと考えていました。しかし、甲様が認知症になった場合、預金が凍結されA様自身が費用を立て替える必要があるのではないかと不安になり、当事務所に相談に来られました。司法書士の提案
当事務所では、認知症対策として家族信託を提案しました。家族信託を利用することで、甲様の認知症発症後もA様が甲様の預金を管理し、施設費用などの支払いが円滑に行えるようになります。 また、相談の中で、甲様には兄弟がいましたがすでに亡くなっており、その子である甥や姪が複数名いるものの、長年連絡を取っていないことが判明しました。このままでは、甲様の財産がすべて甥や姪に相続されることが分かりました。しかし、甲様は相続人ではないが世話になっているA様に財産を残したいと考えていました。 そこで、当事務所は公正証書遺言の作成を提案し、遺言執行を当事務所が行うことを提案しました。実施した手続き
- 甲様の財産管理のために家族信託契約を公正証書で作成
- 相続対策として公正証書遺言を作成
- 当事務所が遺言執行者として指定される
家族信託の重要性
家族信託は、認知症による財産凍結のリスクを防ぐ効果的な手段です。信託契約を通じて、財産の管理権限を特定の受託者(この場合はA様)に委ねることで、本人の判断能力が低下してもスムーズに財産を活用できます。特に、今回のケースのように高齢者の介護費用が関わる場合、適切な財産管理が行える点が大きなメリットとなります。遺言による相続対策
法定相続では、配偶者や子がいない場合、被相続人の兄弟姉妹、その子(甥や姪)が相続権を持ちます。しかし、今回の甲様のように、長年関わりのない親族に財産を残す意向がない場合、遺言を作成し、自らの意思を反映させることが重要です。特に、公正証書遺言を活用することで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。実施後の効果
今回の対策により、以下のメリットが得られました。- 認知症発症後も、A様が甲様の財産を管理し、スムーズに施設費用を支払えるようになった。
- 甲様の意思に基づき、A様が確実に財産を受け継ぐ仕組みを整備できた。
- 長年関係のなかった甥や姪が相続する事態を防ぐことができた。
司法書士のポイント
- 家族信託を活用することで、認知症発症後もスムーズな財産管理が可能となる。
- 公正証書遺言を作成することで、希望する相手に財産を確実に遺せる。
- 遺言執行者を指定することで、遺言の実行が円滑に進む。
- 法定相続と異なる財産配分を希望する場合、事前の対策が不可欠である。
まとめ
今回のケースでは、家族信託と遺言を併用することで、認知症対策と相続対策を同時に実現することができました。財産管理の不安を解消し、希望する相続人に財産を確実に引き継ぐためには、早めの対策が重要です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の状況に適した対策を講じることをおすすめします。この記事を担当した執筆者

- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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