身寄りのない高齢女性のおひとりさまサポート
目次
状況
相談者Aさん(70歳・女性)は、一人暮らしをされている高齢者です。Aさんは20年前に夫と離婚され、以降はお子さんとも疎遠な生活を送られてきました。Aさんには長男Bさん(30歳)と長女Cさん(28歳)がいらっしゃいますが、離婚後は会う機会がなく、親子関係はほぼ途絶えた状態です。そのため、Aさんは実質的に独り身として生活されており、特に近年、将来への不安を抱えるようになっていました。
Aさんは現在、住んでいるアパートからの引っ越しを検討されていましたが、緊急連絡先がいないという理由で賃貸物件への入居を断られるケースが続き、行き詰まりを感じていました。家族が近くにいないため、自分の身に何か起きた場合に誰に頼ればよいのかわからず、不安が日増しに強まっていたとのことです。
また、Aさんは老後の生活だけでなく、判断能力が低下した場合の財産管理や身元保証、さらに亡くなった後の財産分配についても懸念を抱いていました。具体的には、「自分の判断能力が衰えたときに信頼できる人に財産を管理してほしい」「緊急時や入院時の身元保証人を確保したい」「亡くなった後に財産を子どもたちに分け与えたい」という希望をお持ちでした。
資産状況としては、不動産の所有はなく、預貯金が約2000万円あるということでした。この資産をどう管理し、どのように分配するのかを整理し、適切に手続きするための支援を求めて、知人の紹介で当事務所にご相談に来られました。
司法書士の提案&お手伝い
当事務所では、Aさんの状況や希望を詳しくヒアリングし、今後の生活を安心して過ごせるようにするための包括的なサポートプランを提案しました。提案内容は以下の通りです。
1. 任意後見契約の締結
Aさんが判断能力を十分に持っている今の段階で、将来的に判断能力が低下した場合に備えた「任意後見契約」を締結することを提案しました。この契約により、Aさんが信頼する後見人(当事務所)が財産管理や生活支援を代行できるようになります。任意後見契約を締結することで、Aさんが判断能力を失った場合でも、後見人が適切に対応し、不安を解消します。
2. 見守り契約の締結
Aさんが一人暮らしを続ける上で、定期的に安否確認を行う「見守り契約」を提案しました。この契約により、司法書士が定期的に連絡を取り、必要に応じて訪問を行います。万が一の緊急事態にも迅速に対応できる体制を整えることで、Aさんが安心して日常生活を送れる環境を作ります。
3. 身元保証契約の締結
賃貸物件への入居や、将来的な福祉施設への入居手続きに必要な身元保証契約を締結することを提案しました。この契約では、当事務所がAさんの身元保証人となり、緊急連絡先や必要な手続き窓口として対応します。この体制により、Aさんが賃貸物件への入居を断られる心配が解消され、安心して新生活を始めることができます。
4. 死後事務委任契約の締結
Aさんの死後に必要な手続き(火葬・埋葬、役所への届出、財産分配など)を司法書士が代行する「死後事務委任契約」を提案しました。これにより、Aさんが亡くなった後の煩雑な手続きを当事務所が責任を持って対応します。特に、Aさんが希望する「子どもたちへの財産分配」を確実に実現するための体制を整えました。
5. 公正証書遺言の作成
Aさんが亡くなった後に遺産が円滑に分配されるよう、公正証書遺言の作成を提案しました。この遺言書により、Aさんの意志を明確に法的に効力のある形で示すことが可能です。Aさんが希望される通り、長男Bさんと長女Cさんに公平に財産が分配される内容で遺言を作成し、相続人間でのトラブルを防ぎます。
結果
当事務所のサポートにより、Aさんは以下の手続きをすべて完了し、安心した生活を送れる体制を整えることができました。
- 任意後見契約: 将来的な判断能力の低下に備え、財産管理や生活支援の体制を確立しました。
- 見守り契約: 定期的な安否確認と緊急対応の体制を整え、日常生活における不安を軽減しました。
- 身元保証契約: 賃貸物件の入居手続きがスムーズに進み、新しい住まいでの生活を開始しました。
- 公正証書遺言: Aさんの意志に基づき、遺産分割が確実に行われる遺言書を作成しました。
- 死後事務委任契約: 死後の事務手続きに関する負担を軽減する体制を整えました。
これらの施策により、Aさんは「自分一人では到底ここまで整理することはできなかった。すべてを整えていただき、本当に安心した」と満足されていました。また、新しい住居での生活を始めたことで、これまで抱えていた孤独感や将来への不安が軽減し、心穏やかに日々を過ごされています。
司法書士のポイント
今回の事例では、独居高齢者が抱えるさまざまな課題を包括的にサポートすることで、Aさんの生活基盤を整え、将来に向けた安心感を提供しました。この事例から学べるポイントを以下にまとめます。
1. 包括的なサポートの提供
任意後見契約、見守り契約、身元保証契約、死後事務委任契約、公正証書遺言の5つを組み合わせることで、高齢者が抱える多様な不安を一括して解消することが可能です。特に、独居高齢者のニーズに合わせた柔軟な対応が重要です。
2. 緊急時対応の重要性
身元保証契約や見守り契約を通じて、緊急時の対応体制を整えることは、独居高齢者にとって大きな安心材料となります。
3. 遺言書の有効活用
公正証書遺言は相続トラブルを未然に防ぐ有効な手段です。司法書士が相談者の意向を汲み取り、法的に有効な形で遺言書を作成することで、相談者とその家族に安心を提供します。
当事務所では、今後もおひとりさまの不安や課題に寄り添い、専門的なサポートを提供していきます。
この記事を担当した執筆者
- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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