物忘れがひどくなった父親名義のアパートを管理処分するために家族信託をした事例
状況
①相談者Aは父甲と母Bと妹Cの4人家族。
②父甲はアパートを2棟所有しているが最近物忘れが酷くなってきた
③アパートは比較的新しく入居者もいるが今後修繕などが必要になる可能性もあり、甲が認知症で判断能力が無くなるとアパートの管理処分が難しくなるのではと心配し当事務所に相談があった
司法書士の提案&お手伝い
①甲さんが認知症になっても通常のアパート経営はなんとか対応できるかもしれないが、大規模な修繕や売却が必要になった時、甲の意思能力が問題になり手続きができない可能性がある旨説明した。
②その場合甲さんに成年後見人を選任すれば大規模修繕や売却も可能になるが、成年後見人にAさんがなれる保証はなく、弁護士や司法書士が就任する可能性が高く、その場合月額最低2万円の報酬が発生すること。また運よくAさんが成年後見人になれたとしても厳しい家庭裁判所の監督を受けることになり、現役で仕事をしているAさんにとっては負担が大きい旨説明した。
③Aさんは物忘れがあるものの意思確認はできるとのことなので甲さんとAさんで家族信託の契約をすれば今後甲さんの判断能力がなくなってもAさんの判断と手続きでアパートの管理処分ができる旨案内した。
結果
①成年後見制度を利用すると弁護士や司法書士などの第3者が成年後見人に就任する可能性が高い。
その場合月額報酬が発生し本人が亡くなるまで支払う必要があり、コストがかかる。成年後見人はアパートだけでなく甲さんの全ての財産を管理することになる。
などの理由から成年後見制度は絶対避けたいとAさんの意向で家族信託を組成することになった。
②甲さんとAさんの希望や今後の展望を踏まえ信託契約書を作成。
信託財産はアパート2棟と金銭1000万円。Aさんに万が一があった場合に備え妹のCさんを第2受託者とした。
母Bさんもご高齢のため甲さん亡き後は母Bさんのために信託を継続できるような設計とした。
父甲さんと母Bさんの両名が亡くなられたら信託は終了し、その時点で残っていた信託財産の承継先はAさんとCさんで話し合って決めることとした。
③信託契約の原案完成後、信託口座を作成する金融機関のリーガルチェックを経て公正証書作成。
その後金1000万円を甲さんの口座から信託口座へ移行し、アパート2頭の名義をAさんへ名義変更し一連の手続きを完了した。
司法書士のポイント
預貯金の解約や不動産の売却をするには本人の意思確認が必要であり、例え家族であってもその代わりをすることはできません。
また本件のようにアパートの大修繕が将来必要となった場合の工務店との契約や金融機関などからの借入も本人の意思確認が必要です。
財産を現に所有している人が意思判断能力を失うとありとあらゆる契約や手続きができなくなり、いわば「財産が凍結する」状態となります。
かといって成年後見制度を利用すると前述した通り成年後見人に専門家が就任し報酬が発生するなど家族にとっても負担が大きくなります。
家族信託のメリットは信頼できる家族に自分の意思で自分の財産管理を任せられることです。
また家族信託には裁判所は一切関与しないため家族の精神的な負担も軽くなります。
その一方であくまで家族間の契約なので財産管理を任せられた家族が信託財産を使い込んだり、横領した場合に歯止めが利かなくなるリスクもあります。
例え家族であっても財産を託す相手が信用できないのであれば家族信託を利用するべきではありません。
その場合裁判所が監督する成年後見の方が適切かもしれません。
当事務所では家族信託という手法ありきではなく、お客様の状況やご希望をしっかりヒアリングした上で、最適な方法を提案します。
ご家族の今後の財産管理や相続に関するお悩みがある方はお気軽にご相談ください
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この記事を担当した執筆者
- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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