負動産が原因で揉めないための相続プランニングと遺言を活用した事例
相談者の状況
甲様(76歳)は年金暮らしで、家族構成は妻乙、長男A、長女B。家族関係は良好で、これまで大きな問題もなく過ごしてこられました。
資産としては、約1000万円の預金、築30年の自宅、そして田舎にある実家、田畑、山林を所有しています。
甲様が今回ご相談されたのは、田舎の不動産についてでした。これらの不動産は売却も賃貸も難しい状況にあり、将来の相続時に家族が困らないよう、どう処分するのが最適かを検討されていました。
特に、田舎の実家は長年空き家になっており、管理が行き届かず老朽化が進んでいます。固定資産税の負担も続き、草木の管理や近隣住民への影響も気になる状況でした。また、田畑や山林についても、現在は使われていないため、将来的な相続人にとって負担になりかねません。
司法書士の提案
司法書士として、甲様の不動産の状況を詳細に分析し、最適な処分方法を検討しました。一般的に、負動産の処理には以下の方法が考えられます。
- 生前に売却して処分する
- 貸し出して収益化を図る
- 国や自治体の制度を活用する
しかし、今回のケースでは通常の売却が難しく、貸し出しも需要が見込めないことが分かりました。そのため、以下の代替案を提案しました。
1. 民間業者による有償引き取りの検討
近年、民間業者による不動産の引き取りサービスが増えています。一定の費用を支払うことで不要な土地を引き取ってもらう方法です。甲様の場合、この方法も検討しましたが、見積もりを取った結果、引き取り料が非常に高額であり、経済的に現実的でないことが判明しました。
2. 農地は「相続土地国庫帰属制度」の活用
相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を相続人が国へ引き渡せる制度です。一定の要件を満たす必要がありますが、甲様の所有する農地については、この制度を利用できる可能性がありました。ただし、申請には手続きが必要であり、また引き渡しに際して費用が発生するため、慎重に検討する必要がありました。
解決方法と結果
売却や引き取りが現実的ではないことを踏まえ、相続プランニングを実施しました。その結果、負動産の引き取り料を事実上の債務として計上し、負動産を引き継ぐ相続人へ預金を残すシミュレーションを行いました。
具体的には、長女Bが負動産を相続し、その代わりに預金も相続する形が最も適していることが分かりました。この方法であれば、長女Bが負担を負う分、相応の資産を受け取ることができるため、公平性が確保されます。
また、この結果を踏まえ、公正証書遺言を作成しました。遺言書には、長女Bに負動産を相続させること、および預金を相応に配分することを明記し、相続発生後のトラブルを防ぐ措置を講じました。
甲様は、「負動産の処分についての不安が解消された」と大変喜ばれました。特に、生前に計画を立てることで、残される家族が負担を抱えずに済むことに安心感を得られたとのことでした。
司法書士のポイント
- 負動産の処分が難しい場合は、相続時の負担軽減策を検討することが重要。
- 相続人間のトラブルを防ぐため、生前にシミュレーションを行い、最適な財産分割を決める。
- 公正証書遺言を作成し、明確な相続方針を決めることで、相続発生後のトラブルを未然に防ぐ。
- 国や自治体の制度を活用し、負動産の処分を検討することも選択肢の一つとなる。
相続プランニングは、単なる遺産分割ではなく、残された家族の生活を考えた重要な対策です。負動産を抱えている方は、早めの対策を行うことで、家族への負担を軽減することができます。
負動産の処分や相続対策についてお困りの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
この記事を担当した執筆者

- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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