障害のある相続人がいる場合の相続対策
状況
Aさん(60歳、東京在住)は、母親の甲さん(90歳、施設に入所中)と弟のBさん(58歳、知的障害があり施設入所中)の相続対策について、当事務所に相談されました。甲さんは高齢で物忘れが見られるものの、判断能力は保たれています。一方で、弟Bさんは知的障害があり、自身で意思決定を行うことが難しい状況にあります。Aさんは、将来お母さまが亡くなった場合、円滑に相続手続きを進められるよう、事前の対策を検討していました。
ヒアリングを進める中で、弟Bさんが遺産相続において成年後見人を必要とする可能性があることが判明しました。Aさんはこれまで成年後見制度について詳しく知る機会がなく、司法書士の説明により初めてこの問題の重要性を認識されました。お母さまが生前に適切な相続対策を取らなければ、遺産分割協議を進める際に成年後見人の選任手続きが必要になり、これが時間や費用の面で大きな負担となる可能性があることをご理解いただきました。
さらに、Aさんは「母が亡くなった後、弟の権利を守りつつ、スムーズに手続きを進めたい」との希望を持っており、お母さまの遺産を弟Bさんの将来の生活支援に役立てられる形で分割することを希望していました。このような状況から、司法書士は遺言書の作成を提案しました。
司法書士の提案と支援
司法書士は、以下のような具体的な提案と支援を行いました。
1. 成年後見制度の概要とリスクの説明
成年後見制度について、弟Bさんのような意思決定が難しい方が相続手続きを進める際には、家庭裁判所で成年後見人を選任する必要があることを説明しました。成年後見制度は、本人の利益を守るための制度である一方、以下のようなリスクやデメリットも伴います:
- 選任手続きに数カ月の時間を要すること。
- 後見人に支払う報酬が発生すること。
- 後見人の管理下での財産運用が必要になること。
このような状況を回避するためには、遺言書による遺産分割の指定が有効であることを強調しました。
2. 遺言書作成の提案
遺言書は、法的に有効な形でお母さまの意思を明確に示すことができる重要なツールです。司法書士は、以下の内容を含む遺言書の作成を提案しました:
- Aさんが母親の遺産の一部を管理し、弟Bさんの生活支援に充てられるようにする分割内容。
- 弟Bさんの権利を守りながら、相続手続きを簡素化する具体的な方法。
これにより、弟Bさんが後見人の選任を必要とせず、スムーズに遺産分割を行うことが可能となります。
3. 遺言書作成の手続き支援
お母さまが判断能力を有するうちに遺言書を作成することが重要であることをAさんに説明しました。遺言書作成の際には、以下のステップを丁寧にサポートしました:
- お母さまの意思を確認し、それを反映した遺産分割の内容を提案。
- 遺言書が無効とならないよう、公証役場で公正証書遺言として作成することを推奨。
- 必要書類の収集、遺言執行者の指定、遺言書作成当日の立ち会いなどのサポート。
結果
Aさんとお母さまの協力のもと、法的に有効な遺言書が作成されました。遺言書の内容は以下の通りです:
- お母さまの遺産の一部をAさんが管理し、弟Bさんの生活支援に充てる。
- 弟Bさんの権利を保護するため、遺産分割内容を明確化。
これにより、お母さまが亡くなった後の相続手続きにおいて成年後見人の選任手続きが不要となり、時間や費用の面で大幅な負担軽減が実現しました。
さらに、遺言書の作成により相続人間の意見対立を未然に防ぐことができ、家族間の信頼関係を維持したまま将来の相続に備えることが可能となりました。Aさんは「これで安心して母と弟の将来を支える準備ができた」と安心されていました。
司法書士のポイント
このケースでは、司法書士として以下のポイントが重要でした:
1. 成年後見制度と遺言書の活用
成年後見制度の仕組みを正確に説明し、相談者が抱えるリスクを具体的に示すことで、遺言書の重要性を理解していただくことができました。
2. 公正証書遺言による確実な法的保護
遺言書を公正証書として作成することで、無効となるリスクを排除し、法的に確実な形でお母さまの意思を実現しました。
3. 家族間の調整サポート
相続対策においては、法律だけでなく家族間の調整が非常に重要です。本ケースでは、Aさんとお母さまの協力を得ることで、将来の相続トラブルを防ぎ、円滑な解決を目指しました。
相続対策は、早い段階から準備することで、家族の負担を大きく軽減できます。司法書士は、相談者の現状に合わせた適切なサポートを提供し、安心して将来に備えるためのお手伝いを行います。
この記事を担当した執筆者
- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所 司法書士 福田修平
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保有資格司法書士 専門分野相続・生前対策
出身地 山口市 メッセージ 弊所が大事にしている「あなたの安心をカタチにします」というフレーズは、どんなに親が家族を想っても、遺言や家族信託などの具体的な対策を実行しなかったために、想いが叶わず、家族が苦しんだり、悔しい想いをする現実をみてきたからこそできたものです。 ご依頼いただいた際には一切の先入観を排除し、皆様の想いの奥にある背景までに想いを馳せ、ベストの形を提案します。
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